血液内科を選んだ理由と経歴 | Case 3

血液内科を選んだ理由と経歴 | Case 3

2022.11.17

鎧高 健志
金沢大学 2012年卒

血液内科を選んだ理由
私は昔から、漠然と研究者に憧れていました。宇宙誕生や物質の起源にも興味がありましたが、意識や生命のメカニズムも同じくらい興味があり、患者さんの診療を通じて社会貢献できる点にも魅力を感じ、医学部に進学しました。
在学中特に志望科はありませんでしたが、初期研修の最初にローテートした血液内科で、臍帯血移植予定の若い急性白血病患者を担当させていただいたことが、血液内科医になることを意識するきっかけになりました。私と同年代で子どもが生まれたばかりの方が血液難病を発症するという厳しい現実を目の当たりにし、患者さんたちの力になりたいと思いました。
血液内科診療の実際は、血液という形のない臓器に対して、顕微鏡、フローサイトメトリー、遺伝子検査などを駆使し、病棟のベッドと研究室のベンチを行ったり来たりして診断し、治療方針を決定していくものでした。研究者に憧れがあった私にとって、血液診断学、治療が奏効する機序、骨髄移植の理論などを学ぶこと自体が大変興味深い経験でした。同時に、学びから得たものを患者さんに直接還元できることも魅力に感じました。
小児から高齢者まで万遍なく発症する血液悪性腫瘍は、化学療法や同種造血細胞移植などにより一部患者で治癒が期待できるものの、まだまだ改善の余地が残されています。克服することに貢献したい疾患に出会ったこと、研究と臨床を行き来しやすい分野であったことが、私が血液内科学の道に入ろうと決めた理由です。

 
血液内科医としての経歴

金沢大学附属病院、福井県立病院、富山県立中央病院での初期・後期研修を終え、金沢大学大学院に進学しました。中尾前血液内科教授にご指導いただき、再生不良性貧血の研究に取り組みました。再生不良性貧血はいわゆる悪性疾患ではありませんが、汎血球減少を呈し、無治療では致死的となる難病です。研究データをまとめ国際学会で発表し、関連論文を読むことを通じて、難病の理解と克服という同じ目標に向けて世界中の研究者とともに邁進していることをリアルに感じました。2018年には米国血液学会でASH-IPIG Abstract Achievement Awardを受賞し、海外でoral presentationする貴重な体験もできました(Yoroidaka T et al. Leukemia 2021)。融合学域の高松教授と共に多発性骨髄腫の微小残存病変についても研究させていただいており、こちらも米国血液学会で発表し、論文化することができました(Yoroidaka T et al. Sci Rep 2021)。研究生活を通して、データをまとめて論文化する方法、臨床試験や実験系の立ち上げ方、研究から実臨床に検査が応用されていく過程を学ぶことができました。
大学院卒業後、恵寿総合病院と石川県立中央病院に勤務し現在に至りますが、特に石川県立中央病院では同種造血細胞移植を数多く経験しました。同種移植は、患者さんごとに、移植を迎える状況、ドナーソース、移植前処置や合併症など多くの点で異なる個別性の高い医療です。答えのない問題を決断しながら進んでいかなければならない場面も多く、各施設の経験が重要だと思います。2021年に宮本教授就任後、グループ病院内での症例検討会や「移植道場」が定期的に開催されるようになり、日本のみならず世界の有名な先生方から最新の移植について学び、経験を共有できる機会が増えました。専門家同士が議論し、刺激を与え合いながらグループとしての診療レベルを高く保ち続けることが大切であると感じています。個人レベルでは関連病院の有志を募ってオンラインで抄読会を開催し、2年間で170本の論文を共有し議論しました。最後になりましたが、患者さんからも非常にたくさんのことを学ばせていただきました。日々の診療の背後にある、医療と患者さんの歴史に敬意を払いながら、目前の診療に全力で取り組み、未来の医療に少しでも貢献したいと思います。

 
学生・研修医の皆さんへ

宮本教授新体制のもと、新しい取り組みが次々と始まっています。私自身、これから北陸の血液医療にどのように貢献ができるかわくわくしていますが、たくさんの仲間と楽しさややりがいを共有できたらうれしく思います。ぜひ、実習、初期研修でお会いしましょう。

 

米国血液学会