留学報告 (2022-)<br/> National Institutes of Health (NIH)

留学報告 (2022-)
National Institutes of Health (NIH)

2022.11.29

水牧 裕希

2022年4月から米国国立衛生研究所(NIH; National Institute of Health)に留学している水牧裕希(みずまきひろき)です。この留学記を読んでくださっている方に、少しでも留学の雰囲気が伝われば幸いです。

まず、私の留学しているNIHですが、アメリカの首都であるワシントンD.Cから地下鉄で20-30分程の距離にあるメリーランド州ベセスダにあります。NIH20の研究所と7つのセンターの集合体で、全世界から6000人以上の研究者が集まる巨大な研究機関です。皆さんが良く利用するPubmedは、NIHの研究機関の一つの国立医学図書館 (NLM; National Library of Medicine)が運営しています。

 
私はその中の国立心肺血液研究所(
NHLBI; National Heart, Lung and Blood Institute)のHematology BranchにあるDr. Neal S. Youngラボ(Department of Hematopoiesis and Bone Marrow Failure)でポスドク研究員として働いています。これまで本研究室には、中尾眞二名誉教授、細川晃平先生、材木義隆先生が留学されており、私で金沢大学血液内科から4人目の留学となります。

私が留学した20224月は、ちょうどCOVID-19の大きな流行が終わり、NIH全体に敷かれていた様々な制約が解除され、Remote workから研究室に人が徐々に戻ってきている時期でした。そのため、大きな制約がない状態で、仕事を始めることができています。

私の研究室は、中尾先生が留学されていた当時より再生不良性貧血、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)をはじめとした骨髄不全症の病態解明、治療法の開発を基礎及び臨床研究の両面から行っており、NEJMLancetBloodなどの一流紙に多数の研究成果を報告していて、骨髄不全症研究では最も実績のある研究室です。現在は、特にsingle cell RNA sequencing (scRNA-seq), single cell DNA sequencingを用いた骨髄不全症の病態解明が研究室のテーマの一つとなっており、私もシングルセルを用いた研究課題に取り組んでいます。勿論、今まで取り組んだことのない研究でしたが、同じ研究室のポスドクやResearch fellowにも助けてもらいながら研究を進めることが出来、充実した日々を過ごしています。

次に生活面ですが、最初の1か月は生活のセットアップに苦労しました。言葉の違いもありうまくこちらの意図が伝わらなかったり、対応する人によって言っていることが違ったりして、日本ではすぐ終わることに時間を要することが多くありました。留学前に宮本教授より「信頼できるのは自分の車ぐらいだからちゃんとした車を買った方が良い」とアドバイスを頂いたのを思い出し、本当にその通りだと感じました。現在はようやくこちらの生活にも慣れ、長年の夢であったテニスの全米オープンをはじめ、大谷翔平選手や八村塁選手の試合を観に行ったり、スミソニアン博物館群や自然豊かな国立公園、州立公園を訪れたりして、休日を家族で楽しく過ごしています。また、こちらの方は子供に対して非常に寛容で優しいので、子育てにはとても良い環境だと感じています。4歳の娘は現地のプリスクールに通っていますが、通い始めて4か月ほどで英語を文章で話すようになり、子供の順応力の高さに驚かされます。

最後になりましたが、留学の機会を与えてくださった皆様に大変感謝しております。せっかく頂いたこの機会を無駄にしないよう、日々研究に励み、日本に帰国してから少しでも還元できるように頑張りたいと思います。