サバティカル研修報告(2023-2024) <BR>University of California, San Francisco (UCSF)

サバティカル研修報告(2023-2024)
University of California, San Francisco (UCSF)

2024.06.12

高松 博幸

UCSFサバティカル研修

2023年4月から2024年3月までの1年間、カリフォルニア州サンフランシスコにあるカリフォルニア大学サンフランシスコ校(University of California, San Francisco: UCSF)で客員教授としてサバティカル研修の機会をいただきました。UCSFでは主にMission Bay CampusとParnassus Campusの2つに分かれていますが、基礎研究はMission Bay Campusにある臨床検査部門のArun Wiita准教授のラボ、臨床はParnassus Campusにある多発性骨髄腫部門のJeffery Wolf教授の施設で研修を行うことができました。今回は以前より共同研究を行っていた米国シアトルのAdaptive Biotechnologies社副社長であるIlan Kirsch先生の紹介でUCSFに滞在することができました。

 

研修内容

基礎研究では、多発性骨髄腫やリンパ腫の標的抗原に対する結合配列を金沢大学で同定し、それを元にUCSFでCAR-Tや二重特異性抗体の作製を行いました。現状では特許出願前のため、詳細は記載できませんが、新規CAR-Tはin vitro, in vivoの系でKymriahやCilta-celと同等の効果を示しました。また、臨床は週に1回Wolf教授の外来につかせていただき、指導を受けました。また、同部門のThomas Martin教授やAjai Chari教授の指導の下、病棟の患者さんも診ることができ、米国での診療を実感できました。また、臨床研究としては、UCSFではNGSを用いた微小残存病変(MRD)検査が保険診療として行われ豊富なデータがありましたので、骨髄を用いたNGSでのMRDと最近開発された血清を用いた質量分析によるMRDの比較を現在も共同研究として実施しています。さらに、ベイエリアのライフサイエンスのスタートアップ企業のスタッフとも直接交流ができ、人脈を形成することができました。

 

生活

私はサバティカル研修として金沢大学から日本円で給料をもらっていたため、滞在中の1ドル約150円という円安で大変苦しい生活となりました。普通のラーメンを外食するとチップを入れて20ドルぐらいになりますので、日本円で3000円ぐらいでした。毎朝5時起床で自分で昼食用の弁当をつくり、1日3食自炊をするという毎日でした。昼食はラボの若者たち(ポスドクや医学部生)と一緒に食べていろいろと話ができたのは大変楽しく有意義でした。また、サンフランシスコ・ジャイアンツやオークランド・アスレチックスの大リーグの試合は比較的安く観戦することができ、大谷翔平選手の試合も何度か観ることができました。

 

最後に

外国で長期間生活することは貴重な経験となり、人生においてプラスになることは間違いないと思います。今後留学される先生方の留学先として本研修で築いた人脈を活用していくことができればと思っています。今回の研修に際しては、融合研究域融合科学系前域長の大竹茂樹先生、血液内科学教授の宮本敏浩先生、医局員の先生方にサポートをいただきました。心より感謝いたします。