【異常出血2】血小板機能低下:出血時間、血小板凝集能
2024.03.18
血栓止血のお役立ち情報(要約版)を掲載いたします。詳細についてはぜひ動画をご覧ください。
出血性疾患の診断と治療に関する注意点をシリーズでお話しします。病的出血や異常出血の原因には、以下の5つがあります。今回は、この中の2番目「血小板機能の低下」についてお話しします。
- 血小板数の低下
- 血小板機能の低下
- 凝固異常
- 過度の線溶活性化
- 血管壁の脆弱性
血小板機能を調べる検査にはいくつかありますが、まず出血時間の検査があります。出血時間は、血小板機能を見るスクリーニング検査です。具体的には、耳たぶを切り、30秒ごとに血液が濾紙に吸収されなくなるまでの時間を測ります。正常ならば、通常3分以内に止血します。
出血時間が延長する場合、血小板数の低下、血小板機能の低下、または血管壁の脆弱性が考えられます。臨床では、特に血小板機能の低下を見るためにこの検査が重要です。
次に行う検査は、血小板凝集検査です。これは、血小板がどのように凝集するかを調べる検査です。正常な場合、特定の刺激によって血小板は凝集し、光の透過性が変化します。この変化を測定することで、血小板機能を評価します。
血小板機能の低下を引き起こす疾患には、先天性のものと後天性のものがあります。先天性のものには、血小板無力症、フォン・ウィレブランド病、ベルナール・スーリエ症候群などがあります。後天性のものには、薬剤性の影響や、骨髄増殖性腫瘍などがあります。
フォン・ウィレブランド病は発症頻度が高い疾患ですが、診断には注意が必要です。教科書では出血時間の延長とAPTTの延長が特徴とされていますが、APTTが正常であることも多いです。この疾患を疑ったら、フォン・ウィレブランド因子の活性を直接測定し、第VIII因子も測定することが重要です。また、炎症や妊娠でフォン・ウィレブランド因子は容易に上昇するため、測定時にはCRPも同時に測定することをお勧めします。
次回は凝固異常についてお話しする予定です。
血栓性疾患、出血性疾患、エコノミークラス症候群(肺血栓塞栓症/深部静脈血栓症)、播種性血管内凝固(DIC)、抗リン脂質抗体症候群(APS)、抗血栓療法(抗血小板療法/抗凝固療法)、凝固関連検査(PT-INR、D-ダイマー等)などについて情報発信していきます。
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