【異常出血1】血小板数低下:MPV、PDW、IPF

【異常出血1】血小板数低下:MPV、PDW、IPF

2024.03.18

血栓止血のお役立ち情報(要約版)を掲載いたします。詳細についてはぜひ動画をご覧ください。

 

 

出血性疾患の診断と治療に関する注意点をシリーズでお話しします。今回はその第1回目です。異常出血の原因としては以下の5つが知られています。まずは、1. 血小板数の低下についてお話しします。

 

  1. 血小板数の低下
  2. 血小板機能の低下
  3. 凝固異常
  4. 過度の線溶活性化
  5. 血管壁の脆弱性

 

血小板数低下を話す際に注意すべき点としては、EDTA依存性偽性血小板減少症があります。これは、EDTAが入った採血管内で血小板が凝集する現象です。この血小板凝集は試験管内でのみ見られるので、病気ではありません。これを知らないと、免疫性血小板減少症(ITP)と誤診されることがあります。血液塗抹標本では血小板の凝集像が確認できます。EDTA以外の抗凝固剤、具体的にはクエン酸ナトリウム入りの採血管を使うことで、正しい血小板数を知ることができます。

 

血小板関連検査としては、出血時間や血小板凝集能検査があります。出血時間は血小板の機能を見るためのスクリーニング検査です。さらに詳しく血小板の機能を見るための検査が血小板凝集能検査です。平均血小板容積(MPV)と血小板分布幅(PDW)は非常に重要なマーカーです。これらのデータは全ての患者さんで存在します。MPVは血小板の平均的な体積を、PDWは血小板の大きさの幅を見る検査です。新鮮な血小板は大きくて活性が強いことが知られています。例えばITPでは、血小板が破壊されるため、新鮮な血小板が増えてMPVが大きくなり、PDWも広がります。一方、再生不良性貧血(AA)では、血小板が生成されないため、古い血小板が多く、MPVとPDWが小さくなります。

 

血小板数だけでなく、MPV、PDW、IPFを同時にチェックすることで、血小板の状態をより深く理解できます。次回は血小板機能の低下についてお話しします。

 


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