【異常出血3】凝固異常その1(PT延長)

【異常出血3】凝固異常その1(PT延長)

2024.03.18

血栓止血のお役立ち情報(要約版)を掲載いたします。詳細についてはぜひ動画をご覧ください。

 

 

出血性疾患の診断と治療に関する注意点をシリーズでお話しします。病的出血や異常出血の原因には、以下の5つがあります。今日は3番目の凝固異常の概要についてお話しします。

 

  1. 血小板数の低下
  2. 血小板機能の低下
  3. 凝固異常
  4. 過度の線溶活性化
  5. 血管壁の脆弱性

 

凝固異常を理解するには、PT(プロトロンビン時間)とAPTT(活性化部分トロンボプラスチン時間)という2つの凝固検査が欠かせません。人間の血液は、内因系と外因系の2つの方法で固まります。内因系は異物によって、外因系は組織因子によって活性化されます。APTTは内因系の凝固活性を反映し、PTは外因系の凝固活性を反映します。

 

PTが延長する疾患には、ビタミンK欠乏症や肝不全などがあります。ビタミンKは、第VII、IX、X、II番の凝固因子と、プロテインC、プロテインSという凝固阻止因子の活性に必要です。ワルファリンはビタミンKの拮抗薬であり、凝固因子の活性を抑制します。ワルファリンのモニタリングはPT(またはPT-INR)で行われます。これは、半減期が最も短い第VII因子を含むためです。

 

ビタミンK欠乏症のスクリーニングはPTで行われ、確定診断にはPIVKA-II(protein induced by vitamin K absence or antagonist-II)を用います。ビタミンKを投与すると、PTの延長は半日で劇的に改善します。

 

ビタミンK欠乏症になりやすい要因としては、食事摂取量の低下、抗生物質の使用、閉塞性黄疸があります。これらが3つ揃うと最もビタミンK欠乏症になりやすいです。

 

今回は凝固異常についてお話ししましたが、次回はさらに詳しくお話しする予定です。

 


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