MPV、PDW(血小板マーカー)(復刻版)
2008.09.02
血小板関連の検査と言えば、血小板数、血小板凝集能、血小板粘着能、出血時間あたりをまず思い浮かべられることと思います。特に、血小板数が最も基本的かつ大事な検査だと思います。血小板数の正常値は、15~40万/μLです。
血小板数は、自動血球計算機で簡単に測定されますが、実がこの時に他の血小板関連検査が同時に算出されています。
それは、MPV、PDWです。血液内科専門医でもひょとしたら無視している人が多いかも知れません。
1)MPV(mean platelet volume):日本語では、平均血小板容積です。
2)PDW(platelet distribution width):日本語では、血小板分布幅です。
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MPVは、文字通り血小板容積の平均をみています。簡単に言えば、血小板の大きさということになります。
MPVが大きくなる疾患としては、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)が代表的です。血小板は、産生された直後の時期は大きく、経過とともに次第に小さくなることが知られています。ITPでは、血小板が末梢で破壊されていますので、骨髄からの若い血小板産生が亢進しています。それで、MPVは大きい訳です。
一方、MPVが小さくなる疾患としては、再生不良性貧血が代表的です。これらの疾患では、骨髄からの血小板産生が低下しています。そのため流血中の血小板は長い経過をとっていることになります。血小板は小さく(MPVは小さく)なる訳です。
PDWは、血小板容積の分布幅を反映しています。小さい血小板から大きい血小板まで広く分布していますと、PDWは大きくなります。通常、MPVが大きいとPDWも大きくなります。たとえば、ITPでは、MPVは大きいですが、PDWも大きくなります。
一方、PDWが小さくなる疾患としては、再生不良性貧血が代表的です。血小板産生が低下しているため、MPVが小さい血小板が多くなります。そのためPDWも小さくなります。
このように、MPVとPDWは、正の相関をすることが多いです。
なお、管理人の個人的な印象ですが、MPVよりもPDWの方が鋭敏に変動しやすいように思っています。