1968年に当科の前身である旧第三内科が開講して以来、私たちが取り組んできたことがあります。それは造血細胞移植に代表される、「新しい情報を取り入れながら質の高い診療を行う」ということです。
造血細胞移植は無菌室と呼ばれる特別な部屋で治療を行いますが、この無菌室は1975年、日本では金沢で初めて作られたと言われています。そして1978年、急性リンパ性白血病の20代男性に対して行った同種骨髄移植が、日本で初の長期生存例となりました。
医療の発達とともに血液疾患の根治を目指した造血細胞移植の適応は拡大し、件数も年々増加傾向にあります。2012年9月、「造血幹細胞移植推進法」が成立し、「移植を希望する患者の方々にとって、病気の種類や病状に合った最適な移植が行われるとともに生活の質の改善が図られることが期待される」という方向性が示されたことを受け、当院では2017年7月に造血細胞移植センターを設置しました。このセンターは当院の専門医、多職種のスタッフが横断的に参画し、造血細胞移植を受ける患者さんおよびドナーに高度な先進医療を提供することを目的としています。2020年4月には全国で12施設しかない造血幹細胞移植推進拠点病院の1つに選ばれました。
2021年からは造血・免疫細胞療法センターと改名し、キメラ抗原受容体(CAR)-T細胞療法を開始しています。血液内科診療を行っている医療機関との連携を強化し、北陸地方における造血細胞移植・免疫細胞療法のレベルアップを図ることで、患者さんにより良い医療を提供することを目指しています。私たちと一緒に新たなチャレンジをしてみませんか?
血栓止血学は第二代教授・松田保先生のもと発展し、日本の血栓止血診療をリードしてきました。対象疾患には、血栓性疾患として播種性血管内凝固(DIC)、抗リン脂質抗体症候群、先天性アンチトロンビン欠乏症、先天性プロテインC欠乏症、先天性プロテインS欠乏症、静脈血栓塞栓症(深部静脈血栓症・肺血栓塞栓症)など、出血性疾患として特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、先天性および後天性血友病、フォン・ヴィレブランド病、血小板無力症、先天性凝固異常症、オスラー病などがあります。血栓止血学は全ての診療科に関連する領域横断的な分野であり、各科と連携して診療を行なっています。
DIC病態解析と治療法の改善、血栓性疾患の病態解析・臨床検査、凝固異常症の遺伝子解析、抗リン脂質抗体症候群の病態解析に特に力を入れており、全国から原因不明の出血・血栓症、不育症など数多くのコンサルトをいただいています。また、2024年には日本血栓止血学会学術集会を主催予定です。
輸血部は、1968年(昭和43年)1月に当院に設置され、その後1975年(昭和50年)10月に正式な部署として認可されました。血液内科の前身である第三内科の開講が1968年(昭和43年)4月ですから、3か月間、先輩になります。金沢大学附属病院が「北陸の最後の砦」として医療を担っているため、輸血製剤の取り扱い量は北陸一であり、24時間体制の検査・製剤管理体制が整っています。
設立当初からアフェレーシス(末梢血幹細胞やリンパ球の採取)、血液型不適合移植時の骨髄処理、移植後のキメリズム解析など、造血幹細胞移植医療のサポートに力を入れてきました。これは「日本にも骨髄移植を根付かせたい」という、第三内科初代教授 服部絢一先生の強い信念のもと、輸血部スタッフも造血幹細胞移植チームの一翼を担ってきたからです。最近では、CAR-T細胞療法の細胞処理にも貢献しています。
輸血療法は、血液内科のみならず、内科系、外科系の多くの診療に欠かせない支持療法です。輸血に関して困ったことがあれば、気軽に相談してください。
入院診療は、主に無菌エリアのある東病棟6階と東病棟3階の無菌室で行っています。限られた病床数の中、同種造血細胞移植やCAR-T細胞療法などの専門的治療や複雑な症例の治療は優先的に大学病院で行い、比較的強度の低い化学療法は関連病院で行うなど、北陸血液研究グループ内で綿密に連携しています。若手医師がより多くの症例を指導医とともに安心して経験できるよう、4-6人のチーム制を導入しています。土日祝日の回診は当番制にして、十分な休息をとれるように配慮しています。
金沢大学附属病院血液内科外来では、白血病、骨髄異形成症候群、再生不良性貧血、リンパ腫、骨髄腫、血栓性疾患、出血性疾患など幅広い血液疾患の専門診療を提供しています。造血器腫瘍に対しては外来化学療法を取り入れ、患者さんの早期社会復帰に力を入れています。移植後長期フォローアップ外来では、専門資格を有する看護師と連携して、きめ細やかなケアを提供しています。セカンドオピニオン外来では、各分野の専門家が診療の助言を行なっています。最先端の治療を提供できるよう様々な治験や多施設共同臨床試験にも参加しています。
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