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教授挨拶

金沢大学大学院医学系研究科
血液内科学 教授
金沢大学附属病院 血液内科 科長
宮本 敏浩

当科は、血液内科と呼吸器内科診療を主として、1968年に新設された内科学第三講座に端を発します。初代教授・服部絢一先生と教室員は、開設直後に医員も設備も不足していたにも拘らず、果敢にも当時難しいとされていた同種骨髄移植の導入を我が国でいち早く取り組みました。そして、1977年に日本初の移植後長期寛解を維持する急性白血病症例を報告しました。その後、血栓止血(第二代教授・松田保先生)、骨髄不全症・再生不良性貧血(第三代教授・中尾眞二先生)と新たな分野にも挑戦し、幅広い血液内科領域で診療と研究を行ってきました。歴史ある金沢大学医学部の中では比較的若い臨床教室ではありますが、当科開設後50年余を経て、「進取の気鋭」と「自由闊達」を尊重する気風を引き継ぎながら、多くの血液内科医を輩出してきました。
2019年、臓器別に内科教室が再編され、第三内科は血液内科と呼吸器内科に別れ、2021年9月から私が第四代教授として血液内科学教室を担当しています。現在は、約60名の教室医局員とともに、15の関連施設と綿密に連携して、臨床・教育・研究を繋いでいます。
ライフサイエンスの飛躍的な進歩で、分子標的薬・免疫細胞療法・遺伝子治療など新規治療薬を用いた個別化医療が続々と血液内科診療でも展開されています。しかし何よりも、目の前の血液難病に苛まされている患者さんを救う、という強い気持ちと覚悟をもった医師が必要です。そのような若い人々が私たちの輪に加わってくれること、医局員・同門会員一同で歓迎しています。その医師達を、血液内科領域に精通した内科専門医に育成するよう、私たち自身も常に診療と研究とに精進しています。
時代の流れは日々加速し、医療技術も凄まじい勢いで進化しています。既存の価値観に捉われ、閉鎖された狭い世界に留まること無く、自分の可能性を信じて、外に向かって力を結集し、共に挑戦し続けましょう。
“Impossible is nothing.”

沿革

初代教授 服部 絢一

初代教授 服部 絢一
(1969–1983年)

1969年
金沢大学医学部第三内科学初代教授として服部絢一が着任
初代教授 服部 絢一

初代教授 服部 絢一
(1969–1983年)

1968年、金沢大学医学部第三内科学講座の設立後、1969年に初代教授として服部絢一が着任し、北陸に血液内科が誕生しました。1974年頃より骨髄移植療法の開発に着手し、血液・免疫グループに加えて、呼吸器グループ(移植後の肺合併症)、感染症グループ(無菌室治療)、心身症グループ(無菌室に隔離された患者の心のケア)による骨髄移植チームを育成しました。1975年に国立大学附属病院で初めての無菌治療室を導入し、1977年に第1例目の同種骨髄移植を実施。1978年にはわが国で初めて、急性リンパ性白血病に対する同種骨髄移植に成功しました。その後、1984年3月までの在任中に30例の同種骨髄移植を行っています。骨髄移植の健康保険適用に向けて厚生省に何度も足を運び、厚生大臣や日本医師会長に陳情したことが、1982年の無菌室治療薬(バンコマイシン)や骨髄移植の保険適用に繋がりました。服部はこのような業績から1984年5月に紫綬褒章を受章し、わが国の「骨髄移植の父」と呼ばれています。
第二代教授 松田 保

第二代教授 松田 保
(1984–1999年)

1984年
松田保が第二代教授に就任。
第二代教授 松田 保

第二代教授 松田 保
(1984–1999年)

1984年7月に松田保が第二代教授に就任しました。松田は血栓止血グループを新設し、研究や診療の幅を広げました。厚生省特定疾患血液凝固異常症調査研究班の班長として血液凝固学とくに播種性血管内凝固(DIC)の臨床と研究をリードし、日本におけるDICの臨床と研究のレベルを引き上げました。厚生労働省DIC診断基準(1980年)は松田が中心になって作成したものです。分子マーカーを駆使したDIC病態解析は、現在のDIC病型分類に繋がっています。
第三代教授 中尾 眞二

第三代教授 中尾 眞二
(1999–2021年)

1999年
中尾眞二が三代目の教授に就任。
第三代教授 中尾 眞二

第三代教授 中尾 眞二
(1999–2021年)

1999年8月、中尾眞二が第三代教授に就任しました。中尾は、骨髄移植の伝統を継承し、同種末梢血幹細胞や臍帯血幹細胞を用いた代替的な造血幹細胞移植、HLA半合致移植などの新しい造血幹細胞移植療法にいち早く着手し、発展させてきました。造血不全の病態に関する研究で世界をリードしてきました。2019年には、金沢大学内科臓器別再編により同一医局の血液・呼吸器内科から血液内科と呼吸器内科に医局を分け、診療・研究体制を整理しました。
2021年
宮本 敏浩が血液内科学の教授に就任しました。

スタッフ紹介

常勤医派遣先